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学位論文の書き方 ‐パート 1

Tom Jagerによるアドバイス
(Tom Jagerは法学と英文学の学位を持つプロブロガーで、多数の記事やオンラインジャーナルを執筆しています。G+ またはFacebookで彼の活動を紹介しています。)

学位論文は学術界の一員となるための免許証です。確かに、この免許証の作成は骨の折れるプロジェクトであり、多くの学生が不安に思っています。その理由は、ほとんどの学生がこれほど長く、しかも最終的には口頭試問に合格しなければならない論文を書いたことがないためです。事実、学位論文の作成は重荷ではありますが、これらの心配事は、実際にはそれほど心配するようなことではありません。幸運なことに、多くの学生がすでにこれを経験しているため、彼らの経験から学び、役に立つ秘訣を得ることができます。

なぜ挫けてしまうのか
まず初めに、重要なことをお教えしましょう。。それは、ほとんどの人にとって、学位論文をうまく仕上げられない最大の要因は心の準備態勢にある、ということです。順番に説明しましょう。学位論文はおそらく、これまでに挑戦した最大のプロジェクトであるに違いないと思います。したがって、少々怖気づくのはごく自然なことです。例えば、200ページの論文をこれまでに書いたことがありますか?夜遅くまでかかって論文を書き終えようとしても、なかなか終わらなかった経験がありますか?これを別の側面から見てみましょう。学位論文を書くという課題を与えられる前に、あなたは自分の研究のさまざまな領域に関する研究論文、小論文、レポート、発表、その他の作業をいくつも書いています。学位論文とは基本的にこれまでに書いた多くの論文を編集する最終段階です。したがって、学位論文を仕上げることは粘り強さの問題であり、前に書いたことをより洗練された形に磨き上げるだけでよいのです。

学位論文を書けない理由
理由A – プロジェクト全体があまりにも難しすぎるように思えて、圧倒される。
解決策:難しいのは当然です!しかし、それは諦める理由にはなりません。プロジェクトを完成させる最良の方法は、面倒でもできるだけ容易に取り組めるような小さなパーツに分解することです。

理由B – プロジェクトの締め切りが曖昧だ。
解決策:実行計画を立て、パーツを書き上げる具体的な期間を決めることです。例えば、文献研究を3日間で終わらせる計画を立て、その計画通りに実行するのです。

理由C – 無理です、研究者じゃないんだから!
解決策:いいえ、、あなたも十分に研究者です。あなたがこれまでにこなした多くの課題を考えてみましょう。それらは意味のある課題に違いないはずです。もう一度、簡単に取り組める規模のパーツにプロジェクトを分解し、ゆっくりと、着実に作業を進めましょう。

さあ始めましょう
研究者の世界まで続く旅路に乗り出すのですから、粘り強く、かつ構成を意識して進めていきましょう。この気持ちを保ち続けるためには、粘り強さとモチベーションが続くような適切なテーマを選ぶ必要があります。あなたが本当に一生懸命になれることをテーマに選ぶべき理由はそこにあります。退屈なテーマよりも興味のあることの方がはるかに楽に書けるでしょう?

次に、選んだテーマを進めるために、その「実行可能性」を教授に分析してもらいましょう。論文執筆にたけた人々の意見では、学位論文に適したテーマとは十分に範囲を絞り込んだ、具体的な問題に関するものだそうです。あまりにも範囲の広いテーマを選べば、200ページではすべてを書ききれないだろうとProesseywritingのChris Johnsonはコメントしています。

最後は構成です。良いアウトラインは不可欠であり、プロジェクト実施の様々な段階で手引きとなります。一般的なアウトラインは、研究の背景の説明、文献研究、手法、結果、考察の各章で構成されます。他の研究者のやり方を参考にすると、よい論文の例を知ることができるかもしれません。あるいは、インターネット上の信頼のおける情報源で論文のアウトラインの書き方を学ぶこともよいでしょう。

*パート2に続く。

図書館で学ぼう!仕事に役立つ情報リテラシー:第3回

第3回:生産性ツールとしてのRefWorks – 働き方改革が求められている今こそ、図書館の文献管理ツールを活用しませんか?

RefWorks を利用すれば、レポートや論文の参考文献リストが1秒もかからずに作成できることをご存知ですか?

RefWorksも含めた文献管理ツールとは、大学図書館が利用者に提供しているソフトウェアサービスの1つです。恥ずかしながら、私自身は文献管理ツールの存在をプロクエスト社に入社するまで知りませんでした。講習会の講師を担当することになり、はじめてRefWorksが参考文献リストを1クリックで作成するのを見たとき、感動するとともに、私の学生時代の苦労は一体何だったのかと思いました。イギリスの大学で20,000 文字(words)の修士論文を執筆した際、参考文献リストの作成に私は1日以上かかりました。完成したと思っても、誤字があって、修正にも時間がかかったことを覚えています。それが、RefWorksを使えば一瞬で誤字もなく作業が完了することを目にしたときは、複雑な気持ちになりました。

現在、日本は政府が中心となり働き改革を進めています。その目的は、生産性を高めることにより、日本社会が直面する様々な課題に対応することです。RefWorksのような文献管理ツールが、国を挙げてのこの取り組みに果たせる役割は大きいと私は考えています。そのことについてお話する前に、先ずは生産性について、私の考えを述べてみたいと思います。

そもそも生産性はなぜ重要なのでしょうか?また、どうしてそれを高める必要があるのでしょうか?先ずは経済の観点から考えてみましょう。私たちの暮らしは経済活動により成り立っています。経済学者ではない私が言うのも僭越ですが、経済とは単純に考えると、ものやサービスが生産され、それが購入・消費されることにより生み出される価値の総和です。それら経済活動が仕事=雇用を生み出し、生活を支え、社会の富を創出します。「価値の総和」という言葉がここでは特に重要です。人口が減少する日本では、1人当たりの生産性が一定のままでは、経済は縮小してしまうからです。日本がこれからも富を創出し、現在と同等、またはそれ以上の生活水準を国民が求めるのならば、1人当たりの生産性を上げることにより、人口縮小による経済規模の減少分を補っていかなくてはなりません。

次に社会の少子高齢化という観点から生産性を考えてみます。このトピックについては日々報道がされているので私が言うまでもないかもしれませんが、女性が男性と共に働き、社会で活躍することを支援すると同時に、低下する出生率を向上させるためには、パートナーと過ごす時間、子育てと仕事を両立する時間を確保しなくてはなりません。そのためには、これまで日本社会の多くの職場であたり前とされてきた長時間労働を是正し、より短い時間でこれまでの業務をこなす必要があります。

そしてもう一つ、グローバル化する経済における国際競争力の観点から、生産性を考えてみましょう。同じ仕事に対して、デジタルツールを活用するなどして数分で完了させられる人材が存在する国(例えばアメリカ合衆国)と、手作業で数時間かけて完了させる人材が存在する国を比較した場合、企業はどちらの国の人材を雇用するでしょうか?企業は国の税制や業界規制を含む法制度、人件費の水準、社会インフラの整備状況など、ビジネス環境を総合的に判断して事業の拠点とする国を選択しますが、先進国であり、人件費が相対的に高い日本がこれからも企業にとって魅力的な場所であり続けるためには、国として生産性の高い人材を多く輩出する必要があります。

日本において生産性を高めることの重要性についてまとめてみましたが、今度は生産性をどのようにして高めることができるのかについて考えてみます。多くの経済学者やビジネス研究者の指摘しているとおり、私も2つ方法があると考えています。

1つ目の方法は、イノベーションにより新たな価値を生み出すことです。これまで存在しなかった全く新しい製品やサービスを創造したり、仕事のやり方を根本的に変えることにより、これは実現されます。

2つ目の方法は、これまでの業務をより効率化することです。作業の工程で不必要な作業を取りやめたり、機械や情報技術を取り入れて作業の能率を高めることによって、ものやサービスをより多く、より早く生産・提供することが可能になります。

今回のブログで取り上げるRefWorksと文献管理ツールの活用は2つ目の方法に該当します。しかしながら、これは1つ目の方法とも密接に関連しています。イノベーションは、これまで関連しないと思われていた複数のアイディア同士を結合させることにより生じるとよく言われますが、そのためには、イノベーションを起こす人が様々な異なる情報にふれる機会と時間が必要です。毎日、朝から夜遅くまで事務作業に追われるような仕事をしていては、多様な情報をインプットする時間がないため、イノベーションに必要な「アイディアの新結合」というアウトプットも起きないのです。(ちなみに私はイノベーションの前提となる他の要素として、専門知識とより良い製品やサービスを生み出したいという、強い想いや意思が必要であると個人的に考えています。)

ここまで、今の日本においてなぜ生産性が重要なのか、生産性をどのようにして向上させるのかについて述べてきました。では、これらの社会的潮流とRefWorksのような文献管理ツール、そして大学図書館を利用する研究者や学生の人たちがどのように関連しているのでしょうか?

日本の研究者の多くは、他の国民同様、仕事と育児の両立や、高齢者の介護に必要な時間を確保することに日々苦心されていることと思います。図書館が提供するRefWorksのような文献管理ツールは、そのような先生方の論文執筆作業を効率化し、研究の生産性を高めることができます。また、世の中には比較的に創造性があまり必要でない仕事がありますが、革新的な研究の実現には、従来とは異なる発想やひらめきが求められます。このことを考慮すると、文献管理のような作業的業務を効率化し、創造的な研究活動にあてる時間を生み出すことの意義は大きいと思われます。

学生の方々にも、RefWorksや他の文献管理ツールを活用し、レポートや卒業論文を効率よく執筆して、より充実した学生生活を送ってほしいと、私は個人的に考えています。また、学生である間にRefWorksのようなデジタルツールをマスターして生産性を高めることを経験しておけば、働きはじめてからの苦労が減ります。卒業後、どのような職業を選択しても、職場でPCやスマートデバイスのアプリを使って業務効率を向上させることが求められるようになります。デジタル化が進むこれからの社会では、この傾向は益々強くなっていくことでしょう。学生の間にソフトウェアを活用する習慣を是非身に付けていただきたいと思います。(ちなみに私はそのような努力を全くしなかったので、働きはじめてから苦労をしました。)

そして企業の方々に申し上げたいのですが、学生を採用する際、RefWorksのような文献管理ツールを習得して生産性を上げた経験のある学生を、そのような努力をしていない学生よりも是非評価していただきたいと思います。私が講師を担当するような、出席が必須でない図書館主催の講習会にわざわざ参加し(または製品マニュアルを読み込むなどして自習し)、そこで学んだツールを使いこなして自らの作業効率を上げるような学生は、企業が求めている「主体性のある人材」にまさに該当するのではないでしょうか?少子高齢化により人材の確保が難しくなる企業においては、生産性の向上は喫緊の課題だと思いますが、学生の間にそのような取り組みをした人材を採用時に適切に評価するよう、是非アンテナをひろげていただきたいと思います。

RefWorks及び他の文献管理ツールの利用の可否につきましては、ご所属先の図書館ホームページをご確認いただくか、図書館スタッフにお尋ねください。また、弊社はRefWorksの講習会をオンライン形式と訪問形式(図書館からの依頼で開催)にて随時開催しております。学生の方々、研究者の方々を問わず、より多くの図書館利用者の方々に、便利なRefWorksと文献管理ツールについて知っていただき、活用いただければと思います。

最後に図書館員の皆様へ、日本が国を挙げて働き改革に取り組む今こそ、RefWorksや他の文献管理ツールを学内に今一度プロモーションをして広め、学生と研究者双方の生産性の向上に取り組むことが重要ではないでしょうか?弊社は皆様のパートナーとして、そのような大学図書館による取り組みを支援し、一緒に推進できれば幸いでございます。

プロクエスト日本支社
トレーニング&コンサルティング・パートナー
小林 隼