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図書館で学ぼう!仕事に役立つ情報リテラシー:第2回

第2回:企業のバーチャル会議を図書館のオンライン講習会で体験してみませんか?

事業が複数の国で展開されている企業では、働いている場所とは異なる国の人と協業することが少なくありません。そのような職場環境は一昔前まで、一部の大手多国籍企業のものでした。しかしながら、ものやサービスの構成要素が世界中から調達される世界規模のサプライチェーンがあたりまえとなった今日では、それを支える数多くの企業においても、海外の人たちと仕事をする機会が益々増えてきています。

そのようなグローバルな職場環境では、複数の国の人たちを比較的低コストでつないで会議をおこなうために、バーチャル(仮想)会議室が使用されています。効率的で効果的な会議の運営は、参加者が同じ場所にいる状況でも難しいものですが、オンラインでこれを行うのは、主催者と参加者双方にとっても容易ではありません。特に最初はオンライン会議のアプリケーションの使い方や、その環境そのものに慣れることに誰しも苦労をするものです。

さて、どうしてこのような企業のバーチャル会議が図書館と関連するかと申しますと、図書館にデータベースやソフトウェアサービスを販売し、学生や研究者の方々にご利用いただいているプロクエスト社のような企業では、それら製品の利用方法をオンライン講習会というサービスでご案内をしています。

プロクエスト社では、このオンライン講習会のツールとしてシスコシステムズ社(Cisco Systems, Inc.)が提供するWebExというバーチャル会議アプリケーションを使用しています。このツールは世界中の多くの企業が社内のオンライン会議システムとして採用しており、弊社でもお客様向けのオンラインセミナー・製品講習会だけでなく、社内の会議で利用しています。

オンライン講習会はネットワーク環境や開催時のインターネットの接続状況、参加者の使用するパソコンとブラウザの仕様などにより、音声が途切れたり、画像が適切に表示されないなど、トラブルが生じることがあります。その意味では、図書館の会議室やパソコンルームなどで開催される従来の訪問形式の講習会と比べて、オンライン講習会はサービスの質が劣ると言えます。しかしながら、学生の方々が企業で勤めはじめ、バーチャル会議に参加するようになると、接続が切れて会議から強制退出させられたり、画像がフリーズ(固まったり)することなどは、頻繁に起こります(最近は関連企業の努力とネットワークにおけるインフラ環境が整い、以前ほどこのようなことは少なくなりました)。企業で働きはじめてからそのようなトラブルを体験してあたふたするよりも、学生のときから同様の体験をして将来に備えることは、大変価値のあることではないでしょうか?

私も以前勤めていた会社でオンライン講習会をはじめたとき、また、社内のバーチャル会議を主催したときは、大変緊張しました。そしてトラブルが起きた際、私の対応が悪く、お客様にご迷惑をおかけしたことも、同僚の前で恥をかいたこともありました。しかし、当初は苦手としていたものも、ありがたいことに回数をこなすことで慣れてくるものであります。この「何事も慣れが重要である」という観点から、学生の方々には是非早いうちからこのようなオンラインツールに慣れていただくことをお勧めします。

加えて、オンライン化が進んでいるのは会議だけではありません。企業における研修も、実地で開催されるものはコストが高いため、昨今は動画やオンライン講座の形式のものが急速に普及しつつあります。私は個人的に実地形式の研修を好みますが、それを受ける機会はこれまで勤めた企業では少なく、多くの研修がオンライン形式のものでした。

前回のブログ『情報リテラシーこそ、今の企業が求めるスキル』にて、図書館で学べる情報リテラシーは、学び方を学ぶことだと申しましたが、動画やバーチャル環境を利用した学びは、企業だけでなく、社会のあらゆる場面において、これからますます盛んになることと思われます。社会人としてスキルを高めるという観点からも、オンラインでの学習に学生時代から慣れておくことが、将来、学生の方々には役に立つことと思います。

学生の皆様には、是非大学図書館ホームページ内のデータベースとソフトウェア一覧を見ていただき、ご自身の分野で利用するものを見つけてください(何を使えば良いか分からない場合は、『リファレンスカウンター』に行くなどして、図書館員の方にお尋ねください)。そして、それらの提供元企業のオンライン講習会のサービスを確認することをお勧めします。大学が契約しているものであれば、それらオンライン講習会の多くに無料で参加することができます。

私が講師を勤めるプロクエスト社のオンライン講習会も、こちらの日程で予定をしております。弊社の製品の使い方を学びたい方だけでなく、社会人になる準備として、バーチャル会議を体験してみたい方も、どうぞお気軽にご参加ください。

プロクエスト日本支社
トレーニング&コンサルティング・パートナー
小林 隼

図書館で学ぼう!仕事に役立つ情報リテラシー : 第1回

第1回:情報リテラシーこそ、今の企業が求めるスキル

図書館について学んだり、また、図書館が提供している様々なサービスを利用することにより身に付けることのできる情報リテラシーが、大学を卒業した後、仕事でいかに役立つかをテーマに、プロクエスト日本支社のトレーニング&コンサルティングパートナー、小林隼がブログをはじめました。


みなさん、こんにちは。プロクエスト日本支社の小林 隼(こばやし しゅん)です。前回は連載開始にあたり、第0回として、自己紹介とここでブログを書こうと考えた理由をお伝えしました。第1回となる今回は、私にとって大変印象的で重要な引用をいくつか皆様にご紹介したいと思います。

「情報リテラシー」とは何か?その定義は今でも議論されており、進化を続けています。一般的にはパソコンなどのITツールを使いこなすスキルと考えられていますが、学術的には情報の本質に関わる普遍的なスキルとして広く認識されています。以下のものは図書館と図書館情報学において、最もよく引用されるものの一つです:

情報リテラシーを身に付けるためには、人は情報を必要とするときにそのことを自覚し、必要な情報のある場所を特定し、その内容を評価し、そして効果的に利用できるようにならなければならない。[……]

究極的には、情報リテラシーを身に付けた人々(information literate people)とは、学び方を学んだ人々のことである。そのような人々はどのように学ぶかを知っている。なぜなら、知識をどのように整理し、情報をどのように探し、他者にも理解できるようなかたちで情報を利用する方法を知っているからである。そうした人々は、生涯にわたる学びの準備ができている。なぜなら、どのような課題の解決や意思決定をせまられても、いつもそのために必要な情報を見つけることができるからである。

Presidential Committee on Information Literacy: Final Report published in January 10th 1989

この引用はアメリカ合衆国大統領が招集した特別委員会により1989年に提出された最終報告書のものです。英語の原文をこの記事の最後に掲載いたしますので、興味のある方はそちらも読んでみてください。

この引用文でご注目いただきたいのは、「学び方」と「生涯にわたる学び」=生涯教育です。そしてこれら2つのキーワードを、私はビジネスについて学ぶなかでも発見したのです。

ビジネススクールの価値とは、学び方を学ぶことにある。

ジェフ・イメルト ゼネラル・エリクトリック社 会長兼CEO
Jeffrey Immelt, GE (13:40)
Speech at The University of Virginia Darden School of Business

GE(ゼネラル・エレクトリック社)に勤める人のなかで、65歳でもまだ学ぶことができる人は私には価値がある。30歳で全てを知っていると思っている人は、私には価値はない。

ジェフ・イメルト ゼネラル・エリクトリック社 会長兼CEO
A conversation with Jeff Immelt (8:40)
Speech at Cornel University

上記は2つとも、ゼネラル・エレクトリック社の会長兼CEO(最高経営責任者)、ジェフ・イメルト氏の言葉です。そして、前掲の報告書における情報リテラシーに関する記述と、イメルト氏による引用の内容が同じであることには、極めて重要な意味があると考えています。繰り返しになりますが、私のブログの目的は、このビジネスと情報リテラシーの関連性を分かりやすく皆様に紹介することにあります。

ゼネラル・エレクトリック社:通称GEは、皆様もご存知、偉大な発明王トーマス・エジソンがはじめた、創業130年を超えるアメリカの老舗大手企業です。GEは「アメリカ人が最も尊敬する企業」といわれます。日本GEで働いていた方に個人的にお会いする機会があり、興味を持った私はGEについての勉強を数年前にはじめました。それからまもなくしてプロクエスト社に転職したのですが、プロクエスト社もアメリカの企業です。自分の勤める会社のことも含めて、アメリカという国とビジネスをより理解するためにもこの勉強を続けてきました。そして、今の仕事と関連する情報リテラシーについても学びはじめたころに、上記のイメルト氏のスピーチを聞き、ビジネスと情報リテラシーの関係性が密接なものであると、直感的に理解したのです。

私はイメルト氏の最初の引用には半分しか同意しません。別にビジネススクールに行かなくても、学び方を学ぶことはできるからです。アメリカの大統領委員会に提出されたレポートにあるように、情報リテラシーを学ぶ意義は、まさに学び方を学ぶことにあるのです。

大学では特定の分野についての知識を学びますが、その課程で身に付くより普遍的で生涯にわたり活用できるスキルとは、ものごとを学ぶ方法そのものなのです。そして私はこのブログの投稿を通じて、図書館について学び、活用することが、学び方=情報リテラシーをより効率よく且つ効果的に身に付けることができることを皆様に伝えていきたいと思います。

最後に、GEと並んでアメリカを代表する小売大手企業、ウォールマート社の創業者であるサム・ウォルトン氏の引用と、前掲の大統領委員会レポートによる記述を紹介して終わりたいと思います:

一度上手くいったことを単純に続けることはできない。なぜなら、あなたのまわりのすべてが常に変化しているからだ。

サム・ウォルトン ウォールマート社創業者
MAGRETTA, J. and STONE, N.D., 2013. What management is : how it works and why it’s everyone’s business. Profile Books. P.175 より引用

今日事実であることが、明日は時代遅れになることが頻繁に起こる。今日良いとされる仕事が、来年には廃れることもあるかもしれない。経済的自立と生活の質を保つためには、生涯にわたり学び続け、最新の知識を取り入れることが必要なのである。

Presidential Committee on Information Literacy: Final Report published in January 10th 1989

私も現代に働く一人として日々このことを感じているのですが、大学生の方々には、今からこのような意識のもとに、恐れず、積極的に学び方を学び、情報リテラシーを身に付けていただきたいと思います。

プロクエスト日本支社
トレーニング&コンサルティング・パートナー
小林 隼


引用原文:

“What is true today is often outdated tomorrow. A good job today may be obsolete next year. To promote economic independence and quality of existence, there is a lifelong need for being informed and up-to-date.”

“To be information literate, a person must be able to recognize when information is needed and have the ability to locate, evaluate, and use effectively the needed information. [……]

Ultimately, information literate people are those who have learned how to learn. They know how to learn because they know how knowledge is organized, how to find information, and how to use information in such a way that others can learn from them. They are people prepared for lifelong learning, because they can always find the information needed for any task or decision at hand.”

Presidential Committee on Information Literacy: Final Report published in January 10th 1989

“The value of business school is learning how to learn.”

Jeffrey Immelt, GE (13:40)
The University of Virginia Darden School of Business

“A 65-year old at GE who still can learn is valuable to me.  A 30-year old who thinks they know it all has no value to me.”

A conversation with Jeff Immelt (8:40)
Cornel University

“You can’t just keep doing what works one time, because everything around you is always changing.”

Sam Walton, Founder of Walmart
Quoted in MAGRETTA, J. and STONE, N.D., 2013. What management is : how it works and why it’s everyone’s business. Profile Books.

図書館で学ぼう!仕事に役立つ情報リテラシー:第0回

第0回:情報リテラシーこそ、今の企業が求めるスキル
連載にあたって

図書館について学んだり、また、図書館が提供している様々なサービスを利用することにより身に付けることのできる情報リテラシーが、大学を卒業した後、仕事でいかに役立つかをテーマに、プロクエスト日本支社のトレーニング&コンサルティングパートナー、小林隼がブログをはじめることにしました。


はじめまして。私はプロクエスト日本支社にて、トレーニング・コンサルティング・バートナーをしております、小林 隼(こばやし しゅん)と申します。普段は、プロクエスト社のデータベースやソフトウェア製品の使い方をお客様にご案内する仕事をしています。大学図書館が開催する講習会の講師を務めることも多いので、この投稿を読んでいただいている方のなかには、私の講習会にご参加いただいたことのある方もいらっしゃるかもしれません。

私がプロクエスト社で勤めはじめて約2年と6ヶ月。それ以前は銀行や証券会社など、金融機関がお客様の仕事をしていました。弊社のお客様は主に学術機関の図書館なのですが、図書館員の方々と比べると、私は図書館業界と学術業界について、まだまだ勉強中の身です。図書館や情報リテラシーについての知識は、図書館情報学や情報科学を研究されている先生方には遠く及びません。

そんな私がこのブログを書く理由は、自身のこれまでの経験や今の仕事から、図書館と情報リテラシーに関する異なる視点を、お客様である図書館員の方々、そして図書館の利用者である大学生と研究者の方々に提供できると考えるからです。また、これまで私企業に勤めてきたことから、情報リテラシーのビジネスにおける重要性についても、企業の方々に向けて有意義な意見を述べることができると思っています。

プロクエスト社はアメリカのミシガン州、アナーバーに本社を置き、世界中で事業を展開する多国籍企業です。「グローバル人材」や「ダイバーシティ」の重要性が昨今議論されていますが、私は仕事で日々、アメリカ人と香港人の上司のもと、オーストラリア、中国、韓国、インドなど、様々な国のスタッフと同じチームで働いています。企業に勤めはじめる前はイギリスに留学し、大学では社会政策(公共政策)、大学院では教育、特に政治・経済教育について学びました。卒業後のキャリアも、今の業界ではなく金融関連事業ではじまりました。

このような経歴を持つ人間は、日本においてはまだまだ少数ではないかと思います。そんな私が、他の多くの方々が社会人となられてから経験されるように、様々な失敗を経て(私は自信を持って、他の方々より多くの失敗をしてきたと言えます)今の仕事をするにあたり、学生時代にもっと図書館を活用しておけばよかった、そして図書館で学べる情報リテラシーを、早くから身に付ける努力をしておけばよかったと、深く後悔しています。

もし大学生の方々がこのブログを読んでくださるのなら、私のような後悔を働きはじめてからしてほしくはありません。社会人として忙しくなり、勉強する時間を確保することが難しくなる前に、図書館を活用して、情報リテラシーを身に付けてほしいと思います。

もし図書館員や研究者の方々が読んでくださるのなら、情報リテラシーがいかに企業で働くうえで重要であるかの実例を知っていただくことにより、学生の方々の将来のために、図書館だけでなく、全学をあげて情報リテラシーの指導に取り組むことに至る、一つの気づき、きっかけになれば幸いです。

そしてもし企業の方々、特に採用や人材育成を担当している人事の方々に読んでいただけるのなら、情報リテラシーとは一般的に考えられているパソコンや情報ツールを使いこなすことだけを意味するのではなく、情報の本質を理解し、その感度を高め、論理的思考力、批判的思考力、課題解決力、ダイバーシティ、情報発信力もふくめたコミュニケーション力を育成するために、中心的な役割を果たす最も大切なスキルの一つであることを、私の社会人としての実例紹介を通じて知っていただければと思います。

前置きが長くなりましたが、次回の第1回は、私にとって大変印象的で重要な引用をいくつか皆様にご紹介したいと思います。

プロクエスト日本支社
トレーニング&コンサルティング・パートナー
小林 隼