イラク戦争の真実をさぐる

National Security Archiveの機密解除文書から浮かびあがる、近年で最も重要とされる戦争政策と宣伝の関係性

1990年代末から2000年代初頭にかけて、米国はイラク侵攻を巧みに宣伝し、可能な限り最も説得力のあるやり方で戦争開始を正当化しました。

しかし、ふたを開けてみれば、宣伝したものとは全く異なる戦争が待っていました。戦死者と負傷者は膨大な数にのぼり、軍事費は莫大に膨れ上がり、情勢の不安定化と過激派の台頭を招きました(これは戦争反対派が予想した通りです)。米国のイラク侵攻以来、紛争は14年間続いています。

この度、George Washington UniversityのNational Security Archiveとそのイラクプロジェクト担当ディレクターJoyce Battleの尽力により、イラク戦争を政治的な問題に進展させた情報活動を検証できるようになりました。Joyce Battleは情報公開法に基づく要請を通じ、国務省、国防総省、国防情報局、中央軍、中央情報局、加えてイラクに対する政策決定に関わったその他の省庁から数千ページに及ぶ関連文書の入手に成功、ProQuestが提供するDigital National Security Archive(DNSA)データベースのコレクション、Targeting Iraq, Part I: Planning, Invasion, and Occupation, 1997-2004として公開するに至りました。このコレクションは、米国、イラク、中東および国際社会の現代史にとって極めて重大な出来事に関する政策と宣伝の癒着関係について、2,100ページ以上の文書から読み取りことができるコレクションです。

バイアスのない視点で歴史を俯瞰する
このコレクションはイラク戦争の準備段階と今も続く苦闘を包み隠さず明らかにするもので、イラクを巡るクリントン政権以来の米国の政策論争が記録されています。ブッシュ政権の内部記録には、「イラクの自由」作戦に至る意思決定の様子が、軍事行動を正当化するために誤った情報を使用した問題なども含めて詳細に記録されています。そのほか、軍事作戦に対する支持を国内外から得るための宣伝活動についての資料や、米国が主導した占領期間の最初18カ月間を記録した資料も収録されています。

さらに、2001年末にジョージ・W・ブッシュ大統領の命令により国防総省が数カ月かけて練り上げたイラク戦争計画のスライドやその他ブリーフィング資料を閲覧することも可能です。メモや背景報告書では、米国の目的を達成するための戦略が検討されています。

イラク侵攻後に作成された文書には、長引く米軍の駐留に対する反感が徐々に暴力化したことや、宗派間の紛争、略奪行為のまん延、イラクの物理的インフラと市民社会の崩壊、大勢の一般市民が住処を追われるなど、米国が想定しなかった多くの逆境や敗北のために頻繁に戦略を変更したことが記録されています。

2003年中盤から2004年中盤にかけての文書には、占領の終結とイラクの主権回復を求めるイラク人と国連から圧力を受けながら、イラクにおける米国の長期目標を確実に強化することを試みた背景を読み取ることが可能です。

さらに、イラク前政府関係者を権力の座から排除することを目的とした「バース党排除」政策の実施を通じて、米国がイラクの軍隊および治安部隊を消滅し、ほとんどの行政機関を解体する決断を下した詳細な資料のほかに、イラク新憲法の策定や、イラクをグローバル市場に開放する新石油法の施行について、米国とイラクの長期的な軍事協力を定めた戦略的枠組み合意と地位協定と共に記録されています。

また、アブグレイブ刑務所で行われていた捕虜への組織的な拷問が発覚するに至った、米軍による人権侵害に関する報告や、イラクの博物館・図書館に対する攻撃および古代遺跡や考古学的遺産の継続的な破壊に対し、イラク駐留軍の行動または非行動が大きな責めを負うことを論じた資料も含まれています。

収録される膨大な資料からは、イラク経済の民営化、国営企業の廃止、イラクの復興投資に対する国際企業の契約促進のための米国の方策についてもリサーチが可能です。

透明性を保つためのパートナーシップ
Targeting Iraq, Part I: Planning, Invasion, and Occupation, 1997-2004はNational Security ArchiveがProQuestと連携してリリースした40以上の機密解除文書コレクションの一つです。National Security Archiveが選定し機密解除した文書コレクションを、世界の研究者や学生が研究に活用できるようにProQuestが世界中の図書館にオンラインアクセスを提供しています。Digital National Security Archiveは米国の国際関係や安全保障問題を主とした機密文書をテーマ別にコレクション形式でリリースしており、第二次世界大戦後から現在まで歴史的な出来事について詳細なリサーチが進められる一次資料データベースです。

National Security Archiveは政府の秘密主義化をチェックする目的でジャーナリストと学識経験者によって1985年に設立されました。独特の幅広い機能を担っており、ジャーナリズムの調査センター、国際問題に関する研究機関、米国の機密解除文書の図書館・アーカイブ(Los Angeles Timesによると「世界最大の非政府コレクション」)、米国情報公開法の最大の非営利ユーザー、政府情報へのパブリックアクセスを擁護・拡大する公益の法律事務所、開かれた政府の世界的な唱道者であるほか、過去の機密情報のインデキシングと出版を行っています。

イメージ:Jacob N. Bailey二等軍曹(Defense Imagery)[パブリックドメイン]、ウィキメディア・コモンズより


Digital National Security Archive(DNSA)に収録される機密文書は全てテーマ別のコレクションとしてリリースされており、現在49コレクションをご提供しています。1ヶ月の無料トライアルでは全コレクションをお試しいただくことが可能です。こちらからお申込みください。また、製品に関する関するお問い合わせも承ります。こちらからお気軽にご連絡ください(日本語対応可能)。

 

 

Tags:

Comments are closed.